福生の楽器屋 その1. 赤いストラト

東京に来るまで福生という地名を知らなかった。

一番はじめにその文字列を認識したのは、上京後、青梅線に乗った時。でも、読み方が分からない。「"ふくおい"かな?兵庫の相生(あいおい)みたいに。あれも読めなかったなあ」などと考えていると、車内ディスプレイの経路案内に「Fussa」とあり。斜め上からの回答を与えられ、そりゃ分からん!&記憶となった。

2013-14年にかけて昭島市に住んでいたころ、福生は米軍基地がある事もあって独特な雰囲気の町だということをどことなく耳にするようになった。自転車で行けなくない距離という事もあって、暑さも落ち着いてきたころに、ふとサイクリングがてら行ってみようと思いたった。9月ごろだったと思う。

行く前に、福生のお店(自分の場合、大体、中華などのアジア料理屋、ラーメン屋から始まる)などを検索する中で、楽器屋について調べると、長年やっているという中古楽器屋がヒットした。当時、自分が弾くベースに関しては今のところいらないかな、とは思っていたものの、ギターも弾けるようになりたいなあとなんとなく思っていた。というわけで寄ってみることに。

拝島駅方面から自転車で走っていると、徐々に道路に沿って右手方向がフェンスの地続きとなり、そのフェンスを越えた先が横田基地になっていた。滑走路とかあるのかなと思っていたら、それはもっと基地内部にあるみたいで、道路から見えるのは宿舎っぽい建物など。道路左手沿いを自転車で走ると、徐々に、お店などが増えてきた。雑貨屋、服屋、アクセサリー屋、ミリタリーショップ、教会などを通過した。英語の看板も多い。小学生の時に家族旅行で行った沖縄の感触を思い出した。

楽器屋の前に到着した。中に入ると、その狭い店内には多くの中古楽器が雑然と並べてあった。古そうなギターとベースばかりで、見慣れないロゴのものも多い。

ギターを探していると、フェンダーの赤いストラトキャスターをみつけた。

まず第一印象で、傷とか塗装剥げはあるけどそれ含めてルックス・雰囲気が良い(可愛い!)ところが気に入った。それに弾いてみると(ギターの個体の良さというのは未だにそんなには知らないけど)鳴りが凄く気持ち良かった。

店長のおばあちゃんいわく、「フェンダージャパンの85年のEシリアルです。昔の日本の楽器は本当によくできているんですよ。新しい楽器は木材も作りもダメで買うもんじゃありません」とかいうもんで、当時の自分はよくは分かっていなかったものの、その言葉にも、楽器の音にも妙に説得力を感じ、安価なこともあり、その場で買ってしまった。

このおばあちゃん、50年近くここで楽器屋を続けており、今は常駐ではないリペアマンはいるものの基本1人で切り盛りしてるとのこと。僕は関西出身なのであまり馴染みはないのだけど、ある世代以上に特有の綺麗な東京の言葉を話される方だと感じた。基地周辺の環境もあってか外国人客も多いらしく、電話上で英語での対応も流暢になされていた。

色々お話をした中で、とにかく70、80年代の日本の楽器の作りは良いこと、クイーンが好きだということ、まさかの灰野敬二のことを灰野君と呼んでいたこと(!)、が印象に残っている。

で最近、久しぶりに福生のこの楽器店に行ってきました。今回再度向かった理由は、大学以来の友人(もともとドラマーだが、エフェクター、アンプ、パーツ、楽器などのジャンク品をヤフオク等で調達しては修理、自己流モディファイを施し、各軽音楽サークルの部員に高値で売り付け、その仇で留年しまくり&卒業が危ぶまれていた同級生)が行きたがった、というか、自分が「福生にオモロイ楽器屋あるで。行かへん?」と入れ知恵し、要するに自分も行きたかったわけです。